「CBDとは?」
監修していただいた
昭和大学薬学部:佐藤教授に
詳しく教えていただきました
10年ほど前にCBDの存在を知りました。それまでは西洋医学を中心に研究をしてきましたので、薬草や漢方に対して興味がなかったんです。メカニズムに基づいて薬理ターゲットを明確にした研究をしていましたから。ですが、知り合いから海外でCBDのサプリメントが話題になっていると聞き、興味を持ちました。
研究され初めてからまだ歴史が浅いCBDは、解明されていないことも多い物質です。ですが、薬草や漢方のように曖昧な効果ではなく、薬理ターゲットを定めてどのように吸収され作用していくかを解析できる物質なんです。天然のものから抽出されますが、医薬品に近い成分だなと感じ、現在も研究をし続けています。
CBDとは大麻草に含まれている代表的な成分、【カンナビノイド】のひとつです。大麻草には100種以上の【カンナビノイド】が含まれており、その中で有名なのがこのCBDとTHCです。日本ではTHCは禁止薬物として法律で規制されていますが、CBDは使用が認められています。ただし、大麻草の成熟した茎又は種子から抽出されたCBDに限られています。微量だったとしてもTHCが含まれていると規制の対象となるため、日本で流通しているものはTHCが含まれていないものです。
期待できるものとして、不安の軽減やリラックス効果が挙げられます。神経伝達や自律神経などの恒常性を維持する作用があり、「高ぶったものを下げ、低くなってしまったものを上げる」というのが基本の性質です。交感神経を落ち着かせて副交感神経を優位にすることで、興奮や不安を落ち着かせて、眠りの質を高めることにもつながります。うつ病や認知症にも効果があると認められているんですよ。
また、神経症に関する痛みにも作用しやすいです。傷や虫歯、筋肉痛、原因不明の神経痛など様々な痛みを取り除くことにも活用されています。更年期やPMSにお悩みの女性にもいいでしょう。さらに、過剰免疫を抑えることで花粉症などのアレルギー症状の改善にも効果を発揮します。ニキビやアトピーにも効果を発揮しているため、スキンケア用品へも積極的に取り入れられ始めていますね。加えてエネルギー効率に影響を及ぼすことで間接的に体重が減らすことができるため、ダイエット中の方や糖尿病の方にもおすすめです。ここまで様々なCBDの効果を挙げましたが、実はほんの一部です。WHOで認められているものだけで数多くの効果があります。
我々の体内ではCBDに類似した作用を持つ【内因性カンナビノイド】という物質が作られています。CBDのような【植物性カンナビノイド】は、この働き・効果を補ってくれます。睡眠薬で確認されている副作用が、CBDにはないと立証されていますし、睡眠薬は耐性があります(だんたんと効かなくなります)が、CBDは耐性がありません。摂取方法を間違えなければとても安全な物質だと言えるでしょう。
ただし、「摂れば摂るほど良い」「副作用がまったく無い」というわけではありません。摂りすぎは効果が半減するどころかマイナスになるのでご注意ください。香りものの製品に含まれている程度でしたら極少量なので、摂取しすぎることはないでしょう。例えば車の運転前も少量であればイライラすることなく心が落ち着かせて運転できますが、多く摂りすぎると良くないですね。具体的な数値で言うと、1日あたりトータルで100mg以下に抑えることをおすすめしています。
ただし、医薬品の代謝酵素を阻害するため、医薬品との併用は避けた方がいいです。同時期に服用する場合は、専門家の指導のもとで摂取の時間帯をずらして使用してください。
そんなCBDは、イライラしているとき、ストレスが溜まっているときなどにおすすめですね。CBDを摂取することで闘争精神が低下して穏やかになります。興奮状態を沈めたいとき、幸福感を高めたいときに摂取するとよいでしょう。ちなみに、アスリートでCBDを愛用している方も多いです。高まりすぎた闘争心や緊張を少し穏やかにして、試合や競技でしっかりと結果を残せるように摂取するようですね。CBDは不安がなくなって集中力が高まりますし、もちろんドーピング検査も問題ありませんから。
人によって体質は様々ですので、効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。【カンナビノイド】に対して敏感であると効きやすいです。比較的、女性や若い方が効きやすいと言われていますね。動物も効果が現れやすいです。吠える犬や人見知りの猫の舌にCBDを少量塗ってあげると、穏やかになったり怯えたりしなくなります。ですが、適量が難しいので個人的に与えるのは控えたほうがよろしいです。人間でも恥ずかしがり屋、あがりやすい方がCBDを摂取すると、人前に出る時に緊張が和らぎます。
長期に渡って毎日摂取する必要はありません。例えば、寝つきが悪い方がCBDを摂取し始めて眠りの質が改善したとします。睡眠のサイクルができあがってきたら、少し中断をするのがいいでしょう。体の状態を見ながら、必要なときや期間に摂取をしてください。毎日摂取していて効果がはっきりと感じられなくなったら、数日お休みをするといいですよ。
海外で購入したCBDオイルにはTHCが含まれている可能性があります。日本製や日本規格のものを使用してください。その中でも、「THCが含まれていない」と謳っているものや、データ・エビデンスがしっかりと示されたものを選ぶとより確実でしょう。体内に取り込むものなので、重金属分析などもしっかりとパスしたCBDオイルが望ましいですね。
【 DOCALMY 監修 】
薬学博士・薬剤師 昭和大学薬学部教授
佐藤 均(さとう・ひとし)
東京大学薬学系研究科(薬剤学教室)修士課程修了後、金沢大学薬学部助手、富山医科薬科大学付属病院薬剤部助手、アメリカ国立衛生研究所(NIH)・ガン研究所(NCI)症例研究員、スイス・パーゼル研究所客員研究員を経て、東京大学医学部助教授(東京大学医学部付属病院副薬剤部長兼任)となる。
2000 年から昭和大学薬学部教授(臨床分子薬品学教室)に就任。
現在は同大学の基礎医療薬学講座薬物動態学部門を担う。